滋賀・茨城でオリジナルデザインの
注文住宅を建てるならグラッソ

Facebook
Instagram
YouTube

BLOGブログ

ホームブログ「忘れてはならない感謝の気持ち」と「人望とは何か」

「忘れてはならない感謝の気持ち」と「人望とは何か」

 今日は「忘れてはならない感謝の気持ち」と「人望とは何か」をテーマに書きます。
 最近、前職でお世話になった方と仕事をする機会がありました。それをきっかけに、この10年、ずっと気になっていた前職の会社の社長に会いに行くことにしました。

 私の前職は東京系の中堅ハウスメーカーのフランチャイズ注文住宅をしている会社でした。結論から言いますと、その会社は2010年12月、自己破産しました。当時、私は39歳。社長の右腕、常務取締役として滋賀エリアを任されていました。
 10年ぶりにお会いした社長は75歳になっておられました。今は、スポーツジムに通い、趣味の帆船制作や、昔から続けている考古学の勉強も楽しんでいて、特に体も悪いところはないとのこと。お元気な姿を拝見でき、安心しました。会社が自己破産した当時のことを、二人で色々思い出しながら話をしました。
 会社は大阪本店、滋賀支社を設立し、売上拡大路線を猛進。住宅総合展示場に5店舗を出店していました。が、2008年末、リーマンショックに襲われます。月々の展示場地代とリース代、膨らんだ人件費、事務所家賃など固定費がかさむ中、財務は一気に悪化。経営が成り立たなくなりました。不幸中の幸いは、大阪本店と私が仕切る滋賀支社の会社通帳を分けていたことでした。滋賀支社の事業資金管理は私がやっていました。本店は資金が尽きていたのですが、私が経営していた滋賀支社は資金がありました。 会社の自己破産を、株主総会が確定した直後、私は覚悟して社長に滋賀の資金報告をしました。
 倒産直前の約1年間、私は財務状況が芳しくない大阪本店より何度も事業資金の融通をお願いされていたので、最後も滋賀支社の残り資金を、大阪本店に融通するよう社長に言われるに違いないと腹をくくっていました。
 しかし、社長からの言葉は全く違うものでした。「もう負債金額はどうにもならない、私は年齢も年齢だ。先はない。しかし、君はまだ若い。この金は滋賀で使いなさい」と言われたのです。おかげで、差し押さえ前に残った資金で業者への支払いを無事に済ますことができました。あれは、私が滋賀で再起できるように、という社長の取り計らいだったのです。社長にしてみれば、喉から手が出るほど必要な資金であったはずです。

 あの10年前の倒産劇は、今でもフラッシュバックするような悪夢の経験でした。しかし、10年ぶりに社長にお会いし、「人は追い込まれたときにどう振舞えるのか?」が、まさしくその人の「人望」を決めるものだと確信しました。私があの時の社長の立場で、同じ判断ができたか?というと、残念ながらまだ自信はありません。

 社長の経営判断、経営手腕が会社の運命を決めることは言うまでもありません。しかし、私が今、滋賀で再起して、こうして事業ができているのは、あの時の社長の取り計らいがあってこそ。どれだけ感謝しても感謝しきれません。

 現在の私の事業報告を簡単に済ませたあと、私は最後に社長に伝えました。
 「30代で経験したあの会社倒産は、今の自分を育ててくれました。今も経営に役立っています」と。

 社長、いつまでもお元気でいてください。本当にありがとうございました。

グラッソ㈱ 小西宏忠